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たかが始末書だが盲点も(2011/10/03)

たかが始末書だが盲点も

業務上のちょっとした失敗に対し、始末書の提出を求めるケースは多い。始末書には、業務命令に基づくもの、管理監督権に基づくもの、懲戒処分として就業規則の制裁に当たるものに大別される。気楽に提出命令を出すのは、業務や監督権によるものだ。懲戒処分となると戒告と並んで最も軽いもので「付随的」なケースが多い。提出命令を拒否して争いになったものも少なくないが、判例では「労働者の義務は労務提供義務に尽き、身分的人格的支配を受けるものではなく、個人の意思の自由は最大限に尊重されるべき」とされ、提出を拒否したことを理由にこれを業務上の指示命令違反として懲戒処分をなすことはできない、という方向で固まっている。また、懲戒処分として始末書の提出を求め、さらに別の制裁を加えることは、憲法で禁止されている二重処分に当たる恐れが強い。