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社会福祉活動を実践できる企業の条件
社会福祉活動を実践できる企業の条件
中小企業が社会福祉活動(「新たな産業の創出」「就業機会の増大」「市場における競争の促進」「地域における経済の活性化の促進」)を実践するには、企業自身が以下の項目を目指す姿勢を持ち続けることが必要である、と中企団は考えています。
1. パラダイムシフトを先取り、未来を創造する企業であること
戦略の重要性が問われて久しいですが、戦略の本質は「環境変化に対応すること」です。それはダーウィンの生物進化論に通じます。即ち、単に強いものが生き残るのではなく、環境の変化に巧みに対応していく種だけが生き残ることができるという理論です。企業においても世の中、全世界を支配している「価値観(パラダイム)」が突然変わることがあります。ライト兄弟の挑戦で世界は飛躍的に狭くなり、ビルゲイツの登場でビジネス環境はあっと言う間に姿を変えてしまいました。当然のように、そのような環境下で価値観の変遷に対応できなかった企業は淘汰されていきました。逆に、大きく動こうとしているパラダイムシフトを確実に捉え、その変化を促進させる方向で舵を取る企業のみが、成長する権利を得ることができると言えます。
2. 経済的側面だけでなく、価値観の創造、共生実現の場であることを浸透させている企業であること。
企業活動が、個人、社会双方の経済的側面にとって重要であることは言わずもがな、です。一方、多世代が共通目標のもとに活動する企業内で、私たちは人生の歩み方、お金との向き合い方、他者との利害関係の調整、年齢とともに指導者となることの必要性など、およそ学校では教わらないことを学び、企業を通じて自らの価値観形成を行っています。また、多様な人生の背景や動機を持つ、年齢も性別も異なる他人と調和して組織を運営していかなければならない現実から、企業においては個人個人の価値観形成が行われつつ多様な価値観の共生が実現しているという組織、つまり個性を発揮しつつ他者に配慮する社風が維持できている組織が、社会的存在価値の高い企業と成り得るのです。
3. 企業経営者が、戦略家であることだけでなく、優れた思想家、哲学者でもあること
前項でも触れたように、企業活動においてその構成員は単に戦略遂行のための歯車としてのみ活動しているのではなく、尊敬する人物の考えに影響され、自らを毎日微修正しながら生きています。そして、彼らがもっとも関心があるのは、所属する会社の経営者の行動や考え方です。人間に自己実現欲求がある限り、学ぶことの少ない経営者からは社員は自ずと離れていき、もっと“学べる経営者”を探していくことになります。従って、企業経営者は社内の誰よりも優れた思想家で、哲学者として周囲に影響を及ぼすことが求められています。
4. 良い経営は、良い人材の上に成り立つとの価値観を持ち、良い人材を輩出する内部の育成システムが根付いていること
人が、他の経営資源、物、金、情報、時間を使います。つまり人、物、金、情報、時間のうち、“使う側”は「人」だけで、残りはすべて“使われる側”です。そしてその使われ方によって結果としての価値が決定されるため、企業活動においてもっとも重きを置かなければならないことの一つが、如何に良い人材を輩出するか、です。外部から必要に応じて良い人材を調達できるのは、専門スキルを要するときであり、自社特有の理念の遂行や戦略DNAなどが求められる経営陣は、外部調達が利かないことが多くあります。そのような自社の将来を担保する経営陣は常に内部から排出できるような教育システム、選別システムが機能していなければなりません。