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ヒストリーof社労士

» vol18. 法改正への動き

 制度発足7年目に向けて、両団体とも法改正に対する意識が高まってくる。両団体はそれぞれ法改正対策委員会を設け、改正案づくりをはじめたのは49年の両者定時総会以降である。 
 内部抗争、新体制の発足と両団体とも激しく揺れ動いたが、表面的には友好ムードは保たれて事務局長レベルの話し合いがもたれるようになっていた。懸案の大同団結を実現させる大前提として社労士法の抜本改正が必要とする考え方は両者ともにあり、本改正運動は両者の協調によって進めるべきであった。
 両団体は11月6日に第1回法改正合同懇談会を開いた。両団体の法改正案骨子を比べてみる。

 

社労連案

1 社労士の行う業務のうち代理権の設定を必要とするもの
  (1) 行政機関に提出する イ 申請、届出、報告等に関するもの、ロ 審査請求、再審査請求及び不服申し立て等に関すること
  (2) 行政機関の調査及び監査に関すること
2 社労士の登録を行うこと
  (1) 都道府県単位会を法人組織とする
  (2) 法定登録団体を設置すること
  (3) 登録手続きは都道府県所属単位会及び現行の2団体を経由して行うこと
3 法第27条ただし書による社労士の業務と、労働保険事務組合の行う業務との調整をはかるため事務組合に社労士を依頼(顧問など)し、参画するよう措置すること
4 業務制限の緩和または撤廃すること
  (1) 労働争議不介入の限界を明確にし、緩和をはかること
  (2) 診療報酬請求事務等はこれを撤廃する

 

 以上が社労連の改正骨子で、これをたたき台にして改正案をつくりたいとしていた。

 

日社労改正案骨子

1 社団法人日本社会保険労務士会(社労連を含む)を社労士の唯一の団体として社労士を強制登録する
2 労働及び社会保険に関する法令の適用を受ける事業所及び事業場には社労士の設置を義務づける。
3 法第2条第2項の制限事項(療養の給付及びこれに相当する給付請求に関する事務)を撤廃する

 

 日社労はこれらを国会法に基づく請願により法改正運動を展開させたいとしていた。
 このように両団の法改正に対する考え方や方法論にはかなり食い違いがあり、この調整がうまくいくかどうかが成否を分けるポイントであった。
 11月22日、両団体の合同会議が開かれ、第1回の両案骨子の比較検討が行われた。
 しかし、社労連が政府提案による法改正をめざしているのに対し、日社労は請願という手段に訴えようとしており、調整は難航しそうだった。しかし「法改正は絶対必要。そのためにはありとあらゆる手段を講じなければならず、請願による働きかけもしていく」(社労連)のような柔軟な姿勢もみられた。
 両案の違いの中で社労連が法改正をあくまで開業者中心として考えていたのに対し、日社労は会員に大きな比重を占める企業内社労士を念頭に置いた骨子づくりをしており、両団体の体質の相違が浮き彫りにされていた。
 しかし、「改正要綱に示された項目を全部一度に実現させることはムリ。できるものからたとえひとつでも実現させ、この実績を突破口に抜本改正を目指したい」というのが両者の一致した考え方であった。また、強制会移行という点でも一致したが、この前提となる団体の一本化については両者とも突っ込んだ表現を避けていた。

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