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労働者の申告と監督官の作為義務(2012/05/28)
人事学望見
2012年5月30日
労働者の申告と監督官の作為義務
労働基準法第104条第1項は、使用者が労基法違反などの不法行為を行い、改善の見込みがないときには、労働者や労働組合に対してその事実を「申告」することを求めている。そして同条第2項は、申告したことに対して報復行為として不利益取扱いを禁じている。なぜ、このように労働者の申告権を規定しているかだが、これは労基法適用事業場が580万件を超えているにもかかわらず、わずか3000人強の労働基準監督官しか配置されていないため、労働者に監視してもらうためだ。監督官は司法警察権を持ち、一般警察官とまったく同じ権限を行使できるが、この人数で万全を期すのは無理。最高裁の判例でも労働者からの申告を放置し、立入調査を行わなかったとして労働者から訴えられた監督官に対し、監督権発動の一契機ではあるが、申告に対応して調査などの措置を取るべき職務上の作為義務まで負わせていない、と訴えを退けている。にもかかわらず監督行政は、申告に対し迅速な対応を図っており、年間約4万件の申告処理を行っていることを大いに評価したい。